壊れたHelios-44M-5の分解修理 クリーニング
先日、Helios-44M-5を
いつものようにクリーニングをして
動作チェックをしていた時の事。
ヘリコイドの動きを見ていたら
普段と違うズルッという感覚が。
あれ?なんだろうと思いさらにヘリコイドを
グルグル回しているとだんだん出っ張ってくる。
あれ?なんだこりゃ?と思っていたら急に軽くなり
スポッっとレンズユニットがすっぽ抜けてしまいました。
まじか!こんなこと有るのか!
中に位置決めのキーが入っているので
それが抜けない限り、抜けることには
ならないと思うのですが
何にせよこのまま壊れたままにする訳にはいかないと
修理に挑んでみました。
破損したHelios-44M-5の修理
抜けてしまったレンズユニット
とりあえずマウント部にキャップをしました。
さて、何から手を付けようかという所。
初めに指標のある輪っかを外してみます。
4箇所のネジを外すと簡単に取れました。
続いてこのリングを外します。が
このねじ込み位置がずれると無限遠が出ないなどの
症状が発生しますので、
念のため外れる瞬間の位置を出しておきます。
残念ながらこのままですと、位置決めのキーが干渉し
ネジ込めませんのでマウント部もばらす必要がありますね。
マウント部のネジを外します。
外す時には厳重に注意して外していきます。
というのも小さな部品が出てくる場合がありますので。
やはり小さなピンが出てきました。
これは、絞り羽を動かす時に押し込むピンです。
これが無いと絞り羽根が動かなく無くなります。
あと注意したいのが、絞り羽根を動かす時、カチカチと切り替わる
クリック感を出す小さなボール。
今回はこぼれ落ちてきませんでしたが
無くしやすいので注意ですね。
絞り羽根動作ユニットとヘリコイドは
3本のネジで止まっていましたのでネジを外します。
簡単に取れました。
位置がわからなくなってしまうので
ねじ込み位置がわかるよう、当たり(傷)を軽くつけておきます。
ここまできたら、とにかくクリーニングです。
ベンジンを染み込ませたクリーニングペーパーで
丁寧に拭いて古いグリスを除去します。
クリーニング後はグリスを塗布します。
使用したのはこれ。光学用ヘリコイドグリス#10。
ただ、これはかなり柔らかいグリスなのです。
もっと固い方がいいかもしれません。
ヘリコイドをねじ込んで距離輪を取り付けます。
ここで、今回ヘリコイドが抜けてしまった原因の予想がつきました。
この4箇所の固定ネジが緩んだ事が原因と
推測されます。これが緩むとストッパーが効かなくなり
リミットを越えてヘリコイドが回ってしまうようです。
原因がわかった所でしっかりと締め付け、光学ユニットを入れていきます。
ねじ込む山を間違えると無限遠が出なくなります。
何度か挑戦してうまく納まりました。
位置決めのキーを差し込みます。
ここまで来ればあとは簡単ですね。
元に戻して完成です。
レンズは最後綺麗にクリーニングを行いました。
まとめ
今回故障したHelios-44M-5を分解修理しましたが
なかなか、そう簡単にとはいかないと思います。
というのもやはり精密機械ですし、細かい部品が多く
紛失してしまうと戻せなくなる可能性が高いですし
無理な力をかけ破損してしまう恐れもあります。
とはいえ、今は製造されていないオールドレンズ。
修理してあげる事で今後も使い続けられるのであれば
修理して大切に使ってあげたいものですね。