Helios 44-2の後玉レンズ分解クリーニングやってみた
オルレンカフェ店長です。
Helios 44-2 58mm/F2ですが、また貴重な初期のモデルを手に入れられました。
おお、これはなかなか状態が良い。良いものを入手したな。ふふふ。と思い検品していた矢先のこと。
ん?後玉に毛が付いている・・・よし、ブロワーで飛ばそう。
ところが、ブロワーでシュポシュポしても毛が飛ばない。飛ばないどころか風になびかない。よく見ると、ウオオ!レンズ内に入ってるじゃないですか!ということになりました。
そんなわけで、今回は通常のクリーニングに加えて、後玉内部のこの毛を取っていきたいと、思いまーす。
がっつり毛が見える・・・
ミッション
・Helios 44-2 58mm/F2の内部にある毛を除去しろ!
方法としては、分解しか選択肢ありませんね。この方法はレンズの後玉のクリーニングにも役立つことになるかと思いますので参考になればと思います。
まずは分解せずに済むところを丁寧にクリーニングしていきます。古いレンズなので、鏡胴やレンズにも大抵汚れや異物の付着などがあります。これをクリーニングしてあげるだけで、見違えるほどになる場合もありますね。
Helios 44-2 58mm/F2の後玉クリーニングに必要なもの
使用するものの準備
ボクはほぼ全ての道具をAmazonで揃えました。オルレンカフェはAmazonに支えられていると言っても過言ではありませんね。
・シルボン紙
傷の不安なレンズ面も拭ける、レーヨン素材の柔らかく拭き取りの良いクリーニングペーパーです。ボクのクリーニングに必須ですね。
・無水エタノール
近所のドラッグストアにも売っていて値段も安く簡単に入手できますが、レンズのクリーニングに大変役立ちます。簡単なメンテナンスならこれで必要十分です。
・ハンドラップ
無水エタノールを入れておく容器です。ビー玉は中のエタノールのかさ上げ用で入れておいた方が良いですね。少量を効率よく使えるようになります。ビー玉は100円ショップで買ってきました。上の皿を押すと、中のエタノールが少しだけ押し上げられて出てきます。とても便利。
・ブロワー
レンズのホコリを飛ばすのに使用します。ホコリが付いたまま、シルボン紙で拭くとレンズに傷がつく恐れがありますのでブロワーでマメに除去してください。カメラを趣味にしていれば1つはあった方がいいです。
・ニトリルゴム手袋
無水エタノールなどの薬品から手を保護してくれると共に、手の油分がレンズに付着するのを防いでくれます。レンズのメンテナンス意外にも、家の掃除などでも活躍します。サイズは小さめがおすすめです。
続いて、今回のレンズ後玉分解に必要なもの。
・カニ目レンチ
色々な形状のものがありますが必須です。このレンチでレンズ抑えを緩めたり締めたりします。中途半端なものを使用し、レンズに傷をつけるくらいなら購入しておくことをオススメします。
・レンズサッカー
レンズを外したり入れたりする吸盤です。これが無いと、レンズを汚したり、欠けさせてしまう恐れがあります。これも必須レベルです。
吸盤の汚れもチェックしてから使用します。
・ピンセット
レンズ抑えの輪っかを取り付ける時など役に立ちます。
さて必要なものをリストアップしたところで、作業に入っていきます。
Helios 44-2 58mm/F2の後玉クリーニング作業
1・レンズ外装のクリーニング
ブロワーで全体的にホコリを飛ばして、エタノールを染み込ませたシルボン紙でキレイに拭きあげます。レンズ面は特に注意し、一度使用したシルボン紙は交換して丁寧にクリーニングしていきます。
2・後玉の分解
全体的にキレイになったら後玉を外します。
外す前に部品を置く場所としてシルボン紙をセットし、レンズの下には保護クロスを敷いています。
適切な幅にセットしたカニ目レンチで内側のレンズ抑えリングを外していきます。幅の調整は十分気をつけてセットしてください。回す時はレンチを左右均等の力で押し付け、レンズの方を回すようにするとうまく回ります。なおレンチ使用は最低限にして指で回せるようなら、回して下さい。
リングが外れました。
レンズはレンズサッカーで吸付けて外します。
簡単に外れました。ここで観察すると毛はまだ奥の方にある事がわかりました。
その為、更にレンズが複数構成されているレンズユニットを外します。
カニ目レンチを使用し簡単に外れました。
そして、毛もここで除去出来ました。オールドレンズの中のオールドヘアーですね。
3・分解したレンズのクリーニング
外したレンズは、無水エタノールとシルボン紙でクリーニングします。クリーニングはレンズ中心から力を入れず円を描きながら外に向かい拭いて行きます。なお、レンズ横の黒い塗装を剥がしてしまう恐れがあるので、レンズ横は触らない方が良いですね。
4・レンズの組み付け
外した手順と逆にレンズを組み付けていきます。しっかりクリーニングされていてホコリの付着がない事をLEDライトで確認し、ブロワーで丁寧にホコリを飛ばしてレンズサッカーで慎重に組み付けます。
なお、抑えリングのはめ込みにはピンセットがあると良いでしょう。
最後カニ目レンチでしっかりと固定します。
5・最終チェック
無事に毛が除去できました。取り除いた毛は売れそうに無いので捨てました。美しい光学系と艶のある外観です。これで気持ち良く撮影できるでしょう。
まとめ
オールドレンズの多くはもう生産されておらず、今あるものをメンテナンスして使用していく必要があります。こういうメンテナンスのスキルや道具を揃えておく事で、今回のように毛が入った等の不具合が生じた場合でも対応が可能となります。
しかし、やり方はわかっても実際にやると、力の加減やレンズの拭き方など正直難しいです。ちょっとした事でレンズを傷めてしまう恐れがあるという事を忘れてはいけません。
ここに記載した内容はあくまで個人的に作業内容をまとめたもので、このような作業を行い発生したトラブル等に対する責任は持てませんのでご了承ください。それでも、お持ちのオールドレンズが末永く大切に使用されていく事、お祈りしております。