ぐるぐるボケの撮り方と出し方。オールドレンズ『Helios 44-2 58mm/F2』など
ぐるぐるボケの出し方
Helios 44-2 58mm/F2などに代表されるオールドレンズの作例で目を引く、ぐるぐる回るようなボケ。
備忘録を兼ねてぐるぐるボケの撮り方・出し方をここにまとめます。
ボクも最初なかなか出せなかったぐるぐるボケ。
オールドレンズ初心者の方の参考になるといいなと思います。
なぜぐるぐる回るボケがでるのか?
ぐるぐるボケはレンズで光が屈折することで「非点収差」を起こし、本来点である光源が、縦横にずれることで発生します。本来ならこの収差は嫌われるもので、解像度の良いレンズであれば発生を抑えるようになっております。しかし解像度の低い手頃なレンズは、言ってしまえば性能が劣るため周辺の画像が乱れます。
その結果ぐるぐるボケが発生するという仕組みです。
ぐるぐるボケの出る条件
ポイントは3つ
1・絞りは開放
2・被写体を近く
3・背景に小さな光をたくさん
一つずつ説明します
1・絞りは開放
レンズの絞りは開放、もしくは開放付近にしましょう
背景にピントが合っていて、ボケないとぐるぐるボケが発生しません。
これはぐるぐるボケに限らず、背景をぼかしたい場合は絞りを開けるとボケやすくなります。
2・被写体を近くに
これも背景がボケる条件ですが、近くに被写体があり背景まで距離があると被写界深度の関係で背景が大きくボケます。
被写体を最短撮影距離付近において、ピントを合わせて撮影してみてください。背景がボケるのがわかると思います。こうして意図的にボケを作り出すのですね。
3・背景に小さな光をたくさん
冒頭で話したようにぐるぐるボケは点である光源の歪みになります。その歪みの材料となる光源が必要です。
光源とは、具体例として木の葉から漏れる木漏れ日が背景にあったりすると発生しやすいです。また、水面からの反射光などが該当するでしょうか。
光と言うと電球のような光をイメージしがちですが、明暗差のある点状に近いものが沢山あると発生します。
盛大にぐるぐるボケが出たケースを例にします。
ここで言う点光源は葉っぱや、実から反射した光ですね。
左側の赤い実を見ると、光がラグビーボール状に歪んでいます。これが「非点収差」になります。メインの被写体としては中心部のピントが合っている実としました。こうして被写体と背景に距離があると背景がボケます。そしてたくさんある背景の点光源が歪み、ぐるぐるボケが発生しています。
もう1例は光源が菜の花や葉っぱです。こちらも光の粒の歪みが見てわかりますね。
反対にぐるぐるボケが出ないケース。
背景にぐるぐるボケの材料が無いため発生しません。しかし背景はボケています。Helios 44-2で撮影しましたがピント部の描写性能には驚かされます。
少しぐるぐるしているかな?といったところです。メイン被写体からカメラが離れていて背景のボケが足りませんね。
ぐるぐるボケが出やすい場所
一つぐるぐるボケを何としても出したい!という方におススメしたいのが、ズバリキレイな花が咲いている「花壇」になります。
ぐるぐるボケが出る条件の中で、背景の点光源がわかりずらいかと思いますが、
花壇には点光源がたくさん存在しています。
・地面のデコボコ
・小さな花の集合
・葉っぱからの反射光
・隙間からの木漏れ日
などがあげられます。つまり、素材がたくさんあるので適当に撮ってもぐるぐるボケが出やすいのです。この状態で、背景も花壇にして近くの花になるべく寄って、開放でピントを合わせてください。きっと背景がぐるぐるしているはずです。
後ろの菜の花や、葉に反射した光がぐるぐるボケを作り出しています。
ポートレート撮影でのぐるぐるボケ
人物を撮影するポートレート撮影でも、特徴あるぐるぐるボケがあると人物がぐっと引き立って魅力的な写真が撮影できます。その場合もやはり後ろの背景に気をつけましょう。
・花壇
・森の中
・木の葉っぱ
など自然な環境があった方が良いかと思います。是非お試しください。
このように被写体が浮き出るような特徴的な作品になります。
ぐるぐるボケを出すのに適したカメラは?
ぐるぐるボケの出る条件を考えてきましたが、あとは使用するカメラについて考えたいと思います。実際の所、レンズが装着できて背景がボケれば何でもいいとは思います。しかし、カメラのセンサーサイズによって背景のボケやすさが違うのでそこは考慮の余地があります。
一番のおすすめ
・フルサイズミラーレスカメラ
センサーが大きく背景を大きくぼかした写真が撮れます。(例:CANON EOS R・SONY α7Ⅲ・NIKON Z7など)
次点
・APS-Cセンサーサイズカメラ
CANONのEOS kissKISSシリーズなどが採用しているセンサーサイズですが、フルサイズには劣るもののしっかりとぼかした写真も撮れますので、問題無くぐるぐるボケを楽しめます。
ただ、注意点としてHelios 44-2の焦点距離は58mm。これはフルサイズを基準にしています。APS-Cだと焦点距離が1.5倍になりますので、実質87mm相当の中望遠レンズになります。
これよりセンサーサイズが小さくなると焦点距離の問題や、背景のボケやすさという意味で使用感が違ってきてしまうのでは。と思います。
お持ちのカメラ等でわからないことなどあればご相談ください。
まとめ
今回はオールドレンズでのぐるぐるボケの出し方についてまとめて見ました。
以外とまとめるとなると少ないものです。しかし、大事なのは自分で試行錯誤して「これでどうだ?」と撮った写真が思うようにならなかったり、意外にもうまく撮れていたり。そんな、成功や失敗の体験を積み重ねることだと思います。
ボクも最初はぐるぐるボケ出せませんでした。そもそも背景をぼかすってのが理解できなかったんですよね。それでも、自分なりにパシャパシャ撮っているうちに、これは!という一枚が撮れ、仕組みを理解し今ではまだなんとなくですが、狙って出せるようになりました。何事も経験が大事だと言うことですね。
これからも日々写真の勉強を続けて行きたいと思います。
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